むやみな定義が言葉を使いにくくする

子供のころ,「ジュースといえるのは100%果汁だけ」とかいうキャッチコピーのテレビCMがあったのをよく覚えています.農協のCMなのか果汁飲料を作る業界団体のCMなのかはさっぱり覚えていませんが.

これは食品の表示に関する法律がこのとき変わったっていうことだったんだと思います.それから後でもしばらくは,多くの大人たちは,果汁が少ししか入っていない飲料をジュースと呼んでいました.「ジュース飲むかい」と言われ,100%果汁でない飲物(例えばバヤリースオレンジやプラッシー)を出され,この人は頭の柔軟性が失われているなあと心で思いながら,美味しく飲んだものです.

しかし,今考えれば,「ジュース」は果汁や果汁を連想させる原料による飲物全般であって,100%果汁じゃなければいけないなんて定義は,政府や業界の都合で勝手にあと付けしたもので,依然としてジュースでないものをジュースと呼び続けた大人たちに非はありません.むしろ権力の横暴にあらがう立派な人たちだったんです.

最近では,「猛暑」で弱ってます.何年か前に,気象庁が最高気温が35℃以上の日を「猛暑日」と定義したのは記憶に新しいところです.例えば今週初め,北日本を襲った異常な暑さの日々について,帯広では迷うことなく,「連日の猛暑」と表現できます(2019年5月26日(日)の帯広の最高気温は38.8℃で,27日(月)は35.8℃).

ところが,当地の最寄りのアメダスのデータによれば,35℃を超える日はありませんでしたので,体感的に「猛暑が続いた」と表現したいところですがはばかられます.日記やBLOGやSNSへの書き込みにまで影響が出ています.

もちろん,35℃を超えた日が「猛暑日」であって,「猛暑」という言葉の定義まで気象庁は口出ししている訳ではないことは解りますが,論理的な思考が癖になっている人間にはそんなのはむしろ政治的な屁理屈にしか聞こえませんし,言葉にあまい人たちには,猛暑日と猛暑の日を使い分ける事なんざできるわけはありません^^;

ということで,まあ,なんか新しく定義するのをやめろとは言いませんが,普通使う言葉とは違う言葉をつかって欲しかったです.たとえば,「ヤバ暑日」とか「ゲロ暑日」とか.