テレビはつまらない,見る番組がないと日頃からぼやいていますが,昨夜のNHK「君が僕の息子について教えてくれたこと」は,良い番組というより,衝撃でした.
いつもの土曜の夜と同じく,2時間ドラマを見て,今夜は中山忍が犯罪者にならないでよかった,そろそろ寝るかと思いつつ,もしニュースでもやっていたらとNHKに変えたら,その番組でした.
内容はあちこちに書かれていると思うので書きませんが,私は身近に自閉症の人がいる家族がいないので,自閉症のことは現実問題として何も知らなかったのです.コミュニケーションをするのが難しい,自分の行動を制御するのが難しいなど,「社会」のなかで暮らすのが難しいが,何かの能力については,普通の人よりも優れている人もいるくらいな,頭の中だけの予備知識でした.
軽度の症状も含めると100人に1人の割合と言うから,半世紀以上生きて,身近に知らないというのは不思議です.あえて避けてきたつもりもないのですが.
どこが衝撃だったかというと,基本的には東田直樹さんの存在自体ですね.そして,直樹さんを支えるお母さん.重度の自閉症の人にとって一番難しいコミュニケーションを努力と工夫で可能にして,自閉症の人の内側の世界を,常人というか凡人たちにも理解できるようにした.
遅かれ早かれ,直樹さんの本は世界中に訳されるべきだったと思います.日本に縁があり,自身,自閉症の子を抱える著名作家のDavid Michell氏が直樹さんの本を知って翻訳したことは,世界に広まるのを早めたことは確かですが.
直樹さんの存在は,自閉症の理解,解明の鍵ですね.Michell氏は,これまでの専門家の言うことは,自閉症の人をあくまで外から観察しただけで,何の役にも立たないと語っていました.
ということで,たぶん,直樹さんが中心のドキュメンタリーは既に作られているので,Michellさんにスポットライトを当てたんだと思いますが,見る側,特に直樹さんのことを今まで知らなかった人間には,Michellさんに関するエピソードは枝葉です^^;
自分に直接関係することがなく,受け身の姿勢でいても,こういう自分にとって未知の重要な情報を教えてくれるという点で,テレビ(放送)は捨てがたいです.
番組を見れば,題名もそういう意味だと解ります.