他人に厳しく自分に甘い

今渦中の自民党議員の一人が某省の大臣時代,その省が所管する機関で情報漏えい事件がありました.

もちろん一番悪いのはハッカーですが,ずさんなパスワードを使用していた現場の職員が大臣側からの指示(圧力?)で処分されたそうです

管理責任がない一般の職員が,故意でなくそれほど重大でもない過失で処分されたのは異例で,当時同じような立場だった職員たちは憤慨したでしょう.

その議員は今回大きな疑惑というか疑獄の中心部にいますが,「職責を全うする」とか言って役職に居座るようです.

人を処分したり罰する立場にあってそれを行使したものが自分に甘くてどうするんでしょう.その議員には人気俳優の名言を捧げます.

「常に懐に辞表を」

大泉洋(水曜どうでしょう)
その筋からの情報では「どうしても処分しろ」とのお達しがあったらしいです.
破られるパスワードを使用していたら重過失なんてことになったら,日本中大騒ぎです.

“反共” のほうがむしろ怖いな

マッカーシズムは物心付く前の話で大昔のことですが,随分若い頃最初にドキュメンタリーを見たときアメリカは怖いなと感じたことを鮮明に覚えています.その後もマッカーシズムはドキュメンタリーで時々取り上げられ見たように思います.特にアメリカだと思いますが,「反共」という言葉で思考停止になる人が多いようです.日本の戦前の「非国民」に通じる,暴力的な破壊力があるように思います.

最近またその「反共」の恐ろしさを再認識したのは,一連のT一協会の報道やドキュメンタリーです.それらの番組によれば,そもそも「反共」だけの共通意識で教祖と意気投合した昭和の怪物の異名をとる岸信介が自宅の隣地(岸の私有地かどうかは見た報道やドキュメンタリーでははっきりしない)にT一協会の本部を誘致したのが自民党とT一協会の強い結びつきの始まりのようです.

アメリカではマッカーシズムばかりでなく,地球温暖化の反宣伝もその中心となったアメリカの物理学者フレ ッド・シンガーが自らの持つ強い反共意識をベースに繰り広げたことを,昨夜のNHK「バタフライエフェクト」で知りました.

反共の為なら相手の主張を科学的でないと科学的でない方法で非難する,嘘の賛同者リストを作る,それでいて石油会社から莫大な研究費をもらい世間の知るところとなっても平然としていられる.まあ,純粋な科学者でないことは間違いないです.

これまでの個人的な狭い関わり合いの中ですが,すべての思考の原点が「反共」にある(ように見える)人を何人か見てきました.反共を拠り所にすれば有無を言わさぬ正義だという態度なので,T一協会やSK学会の布教者に通じる嫌悪を感じます.SNSだけの繋がりだったら即ブロックしますが,他の関わりがある人とは少し時間をかけて自然とフェードアウトするようにしています.

まだ日本がとりわけアメリカと比較して救われているのは,「反共」で思考停止するがそれほど多くないところだと思います.

それとは別に,昨夜の番組でアメリカの大手自動車メーカーの偉い技術者が「自動車の排気ガスは大気中で消えてなくなる」なんて非科学的なことをのうのうと主張しているのを見て,やはり野放しな資本主義だけでは人類の滅亡が加速される一方だと感じました.

すべて日本人ですが.

高額所得者の税率を上げると海外に人材が流出するって,流出できるならしてみろ

国会中継を見るともなしに見たら,自己責任を党是としている政党の幹部でさえ日本の税による所得再分配は不十分だと政府を追求していました.

再分配を公正にすることは滅びゆくわが国にとって喫緊の課題です.どうすればよいか.簡単なことです.金持ちから税金を余計に取ればいいだけのことです.

この議論はいつの時代でもこのような簡単明瞭な結論に行き着くわけですが,大企業と金持ちのための与党がそれを言うわけにはいかず,毎回「高額所得者の税率を上げると優秀な人材が海外に流出する」っていう訳の解るような解らないことを言い出します.

個人の経験やその他見聞したところを勘案すると,仮にある分野でどこの国でも食っていける能力がある人でも海外に行ってやっていけるのは,多く見積もっても2人に1人です.語学(というよりむしろコミュニケーション能力),食生活,治安,法制度,税制度,健康保険,年金,就労ビザ,習慣その他諸々の環境への適応能力の問題です.

解り易い例がプロ野球選手です.WBCを見りゃ日本とアメリカの野球のレベルには本質的に差がないことがわかります.打撃のパワーとか,守備の巧緻性などそれぞれ長短はありますが,日本で一流な選手がアメリカに渡り実力が出せれば,メジャーでそこそこ活躍できると誰しも思うし,間違いでないと思います.しかし実際にアメリカに渡ってその実力が出し切れた人はたぶん,2人に1人に届いていないでしょう.

他の業種のプロフェッショナルはどうでしょう.おそらくある程度日本で活躍できている人は,その実力を出せればどこの国でもやっていけると思います.しかし,うまく行くかどうか保証のない状況で,日本の税率が高いという理由だけで家族を連れて海外に渡る決断ができる人がどれだけいるでしょう.家族の学業などを考えたらなおさら決断できなくなります.

またプロ野球選手の場合は長くても十数年である意味「有期」ですが,その他のプロフェッショナルの場合は骨を埋める覚悟が必要です.

それでも海外で自分の実力を試すという決断は立派だと思います.仮に最終的にやっていけるようになるにしても最初は大いなる困難が待っているでしょう.自営ならば日本の客は失われることになるし,組織の人ならその高い地位は失われます.

個人の知見を総合するとやはり海外でやっていけるのは2人に1人が良いところだと思います.そして,また,金持ちほど保守的でリスクを負いたがらないという傾向もあります.

「高額所得者の税率を上げると海外に人材が流出する」というのはあまりにも幼稚な空想に過ぎません.それにツッコミをいれずに垂れ流すマスコミの関係者たちも自身が海外に行く選択ができるのか考えてみれば,荒唐無稽な話だと解るはずなんですが,それもわからないんでしょうか.

衰退し右傾化して破滅する

投票先の世論調査などでは日本維新の会の支持率が立憲民主党を上回ったままで,また中道リベラルであったはずの国民民主党が自民党に吸収合併されたがっています.

自民党もかつては右派から中道まで含む保守の寄り合い世帯だったんですが,いつの間にか「右派・保守」で言い表しきれるようになってしまいました.

国が衰退しだすと右翼政党の威勢の良い主張が受け入れられてやがて破滅に向かいます.

日本はかつてそういう道を歩んだのに,そしてその後も海外のそういう事例を見てきたのに,明らかに日本ではその第2段階が進行しています.

ヨーロッパなど海外の政治のニュースだと日本のメディアも「右傾化が懸念される」ってコメントを流しますが,日本のこの明らかな懸念される右傾化にはなんの懸念も示しません.

日本の新聞・ラジオなどのマスメディアは先の大戦の敗戦に際して,大いに反省をしたはずなんですが,今日全くそれが活かされていません.

たぶん私自身は破滅を見届けるまでの余命はないと思いますが,子孫の世代の皆さんがまた辛酸を舐めることになることを考えるのはつらいです.

それからまた復興,繁栄,衰退,右傾化して80〜100年後に破滅する.

ただし海外メディアの論評の引用の形で.

「自己責任論者は “他者の自己責任” のみ追求し,自己の責任を追求されると逃げる」新たな事例

標記のちょっと長い “法則” ですが,今回の大阪万博の責任のなすり合いが非常にわかりやすい事例なので,記録しておきます.

特筆すべきは,自己責任論者の集団の一人の責任が追求されると,他の集団やその集団に属する人に責任転嫁するばかりではなく,逃げ場に窮すると自分の集団の他者をも責めるという,人としてどうなのということを平気ですることです.特に本法則の顕著な事例として永久に語り継ぐに値すると思います.