そういう訳で,個人的にはこの頃の思い出と言えば,1996年にシドニーに渡って,4月初めに渡豪する家族を迎え入れるための準備を開始したことですが,やはり2011年の3.11も忘れられません.
東日本大震災の当日はこの季節としてはずいぶん暖かい,を通り越して暑かった印象があります.確か金曜日と記憶していますが,休暇を取り,ヨーロッパに音楽修行にいく家族のため,まとまった金額のトラベラーズチェックを買いに,昼前に銀行に行ったのです.
その家族は,既に高校の卒業式を済ませましたが,3月31日までは正式な身分は「高校生」です.18歳に達していても高校生だと,クレジットカードの家族カードが作れません.ということで,渡欧して初動の資金は全て持参するしかありません.さすがに現金では危険ですしレートも悪いので,トラベラーズチェックを買って持たせました.たぶん,これがトラベラーズチェックの最後の購入になったと思います.
午前中に任務を終え,暖かいというか暑さを感じる書斎で,くつろいでいたところ,東日本大震災に見舞われました.
家の中も棚の上に置いてあるものはことごとく落ち,皿が食器棚から飛び出して多数割れ,エアコンの室外機が倒れたりしましたが,食器棚自体やタンス類,テレビなどの大型家具,家電はほとんど耐震対策をしてあって転倒することはなく,大きな被害はありませんでした.家族も無事でした.
実はこのとき,職場ではスチール製の大型の棚がほとんど倒れてたいへんなことになっていましたが,地震の当日はそういう訳で休暇を取っていましたし,週明けからしばらく出勤停止になったので,その惨状を自分の目で確認したのは何日も後のことでした.
たぶん,職場にいたら無傷では済まなかったかもしれません.幸運だったと思います.