先日昼間にボーッとテレビを見ていたら(というかザッピング),TBSのNews23で,「身に覚えのない69連泊の謎」について報道するという(番宣)ので,ビデオを仕掛けました.
翌日番組を見たら,ある男性(A氏)にGo Toトラベルの事務局から手紙が届き,あるホテル(ホテルB)に昨年の何月何日から69連泊したかの確認だったそうです.A氏には全く身に覚えがなく,ホテルの名前は聞いたことさえないそうです.
その数日前,タイ版のGo Toトラベルで,泊まってもいないホテルに泊まったとして補助金を受け取る詐欺事件があったという報道を見たばかりなので,この件もホテルが架空の宿泊をでっち上げたのかなと思いましたが,番組がホテルBに問い合わせると,ある会社(C社)が,A氏の名前と住所を含めたリストを提出してまとまった部屋数・宿泊数をそのホテルに予約し利用したとのことでした.
C社に話を聞くと,テレワークのためにまとまった部屋数・宿泊数をとったとの回答で,どういう意図で,またどのようにA氏の個人情報を得たのかについては回答しませんでした.
Go Toトラベル事務局に取材したところ,答えられないとのことだったそうです.
「報道とかニュースとか言っているけどガキの使いかよ」,というのが率直な第一印象です.昼間に見た番宣以上のものは全くありませんでした.それこそ大衆雑誌の中吊り広告です.
誰が得をしたのかと考えると,TBSに情報を持ち込んだA氏は,Go Toトラベル事務局からの手紙をTBSに開示しているし,ホテルB,C社の回答ともその真偽を問わず齟齬がないので,嘘を言っているということはないでしょう.となると,誰かが嘘をついている可能性は4通りです.
1. ホテルB,C社ともに本当のことを言っている
しかし,個人情報保護法に抵触すると思われる,A氏の個人情報の入手をなぜ,どのよう行ったという重大な疑問に答えないC社には誠意があるとは感じられず,そのこと以外は本当を言っているというのもなかなか考えにくいです.
実際にC社の社員(あるいは関係者)が宿泊するならなぜ当人たちの名前で予約・利用しなかったのか.社員(関係者)は結果として偽名で宿泊するという法律違反の疑いがある行為をしたことになり,そういうことをまともな会社がさせるというのも普通はないでしょう.
2. ホテルBが嘘を,C社が本当のことを言っている
これはなかなか難しいケースで,ホテルBとC社の言うことがかみ合わなくなるはずです.
3. ホテルBが本当を,C社が嘘を言っている
A氏の個人情報の入手についてC社がかたらないことからして可能性は高いです.しかし,それほどC社にとっては利益は大きくないでしょう.嘘の名簿で何らかの目的のために多量の部屋×泊数を押さえれば,それなりに大きな出費になります.それを本当に社員のテレワークのために使うのであれば,経費削減になりますが,利用予定の社員の名義でホテルの予約をすべきです.
押さえた部屋を誰かに又貸ししたとしても,自分でホテルをとれば補助が出るのにわざわざ怪しいところを通して「偽名」でホテルを借りるような需要はあるでしょうか.C社にしても又借りする人にもメリットは少ないと思います.
4. ホテルBとC社が嘘をついている
それぞれが別々に嘘をついていたのでは言うことがかみ合わなくなりますが,番組を見た感じではBとCの言い分にかみ合わないところはとりあえずないので,このケースでは口裏を合わせているということになるでしょう.
ホテルBかC社のどちらかが持ちかけても成立しますが,大量の宿泊者×泊数の名簿をCが用意して,BがGo To トラベル事務局に補助金を請求する.補助金はBとCで山分けする.
手間や出費が少なく利益が大きいので,可能性が一番高いと思います.
とは言え,このどれかであることを裏付ける情報は一切報道されませんでした.
素人として思うのは,なぜ,もう少しホテルBとC社について調べなかったのかということです.特にC社に関しては業務内容や会社の規模を調べれば,何か次の段階への手がかりが得られたのではないでしょうか.
また,A氏の個人情報の利用については法律に抵触する可能性が大なのになぜそこを突っ込まなかったんでしょう.
追記(2021/11/30)
数日前の夕方に続編をやってました.途中から見たのでなんともですが,セミナーの補助金も絡めた複雑な「手口」のようです.また,関係者の証言では1泊1万円を下回るレベルのビジネスホテルでありながら,補助金は1泊4万円として申請しているようです.
結局新たな情報が加わっても全容解明にほど遠い状況で,ちっとも消化不良が解消されません.
実名で泊まれない事情のある人々が利用する可能性もありますが,大量に抑えて埋まるほど居るかという疑問も残ります.